ラブ☆ヴォイス
「お前が前から俺を好きだとかぬかしてたんなら、奴がそう言うのも無理ない話だって。アイドルとかそういうのに憧れるのは…まぁあんだろ、普通に。でもそういうのは女子大生になってまでやることじゃねぇ。俺はアイドルなんて大層なもんじゃねぇけどそれでもアイドルたちの類と変わんない。『テレビの向こう側の人』っつー意味ではな。
手が届かないって発想はごく当たり前で、一般論だ。普通の奴は憧れが恋なんかにならずに憧れで終わる。ファンとかで止まるって言えばいいのか?中には本気で好きな奴もいるけど…それが身近にいたら止めるだろ。…少なくとも俺なら止めるな。目を覚ませって。」
「目、覚めてるもん。」
「だから、理解されにくい想いだってことを知れって話。普通は出会えない。一方的に自分が相手を知るだけの存在だ。ここまでを否定出来るか?」
「…出来ません。」
「だからどれだけ恋愛感情持ってたって叶うことねぇんだよ。だって出会えねぇんだから。出会わずに始まる恋なんてもん、あったらお目にかかりたいくらいだな。」
「…そうですね。」
「それを知ってるから、奴はお前を止めにかかった。現実の恋に引き戻すために。」
「…余計なお世話だもん。」
「だからそう言うなって。」

 こういう態度が中学生って言われちゃうのかな?あっくんがなだめてくれてるって分かってるのに、やさぐれた態度でしか返せない。

「とりあえず奴の側に立って話すとこんな感じ。でも奴は一つだけ間違ってる。」
「間違ってる?」
「お前の位置を、奴は正確に理解してない。」
「…どゆこと?」

 訳が分からなくて、唯は首を傾げた。
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