ラブ☆ヴォイス
「奴の話の前提はお前と俺が『会えない』っつーことだ。」
「会えない…。」
「テレビでも雑誌でも何でもいいけど、何かモノを挟んで成り立つ関係って言えばいいか?それもお前から俺に向けての一方的な関係。」
「…うん。」
「でも今は違うだろ。」
「え?」
「今、こうして俺とお前は喋ってる。不本意ながら。」
「不本意って!」

 唯は顔を膨らませた。不本意って失礼な!

「お前の想いを俺が受け取ることはねぇけど、少なくとも声優と女子大生っていう何の関わりもない距離から、隣人っつー生活単位の距離に変わったんだよ。だから会えなくない。恋愛はできる。ただ、しないけどな。」
「気持ち受け取ってもらえないし、好きになってはくれないんだぁ…。」
「今のところそういう予定はない。」
「じゃあ変わるかもしれないってこと?」
「それはお前次第だろ。あとは俺次第か?ともあれ、相手を変える、自分が相手によって変わるレベルでそばにいるっつーことだよ。ま、お前がここんところをしっかり説明しなかったから一方的にキレるなんていう展開になったんだけどな。」
「…そこは言わないで。」

 やっぱりあたしの方が悪い、そんな気がしてきた。
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