月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
その鮮明すぎる記憶は、未だ悲しみを深くしている。
もがいでももがいでも、空が見えない。
まるで、先輩自身が溺れているかの様に。
「貴志は、何かを言いたげだった…その声が、俺達には聞こえないんだ……」
「……僕なら聞こえる、と」
「ああ……宗久に聞いてもらいたいんだ。もしも…貴志が淋しいと言うなら……俺が傍に行ってもかまわないから……」
「……先輩」
貴志君は、そんな事は望まない。
だが、今それを伝えたとしても、それは貴志君の言葉では無く僕の言葉となる。
だから、言えない。
貴志君の声を、届けなければ。
直接、届けなければ。
それ以外、両親を、貴志君を救う方法は無い。
出来る。
詳しく家を見てからにはなるが、僕になら出来る。
そう、確信した。
.
もがいでももがいでも、空が見えない。
まるで、先輩自身が溺れているかの様に。
「貴志は、何かを言いたげだった…その声が、俺達には聞こえないんだ……」
「……僕なら聞こえる、と」
「ああ……宗久に聞いてもらいたいんだ。もしも…貴志が淋しいと言うなら……俺が傍に行ってもかまわないから……」
「……先輩」
貴志君は、そんな事は望まない。
だが、今それを伝えたとしても、それは貴志君の言葉では無く僕の言葉となる。
だから、言えない。
貴志君の声を、届けなければ。
直接、届けなければ。
それ以外、両親を、貴志君を救う方法は無い。
出来る。
詳しく家を見てからにはなるが、僕になら出来る。
そう、確信した。
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