月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
何としても、この魂を導いてやらなくては。




この子達は充分に苦しみ、耐えてきた。


切ない程に、耐えてきたのだ。



僕が応える。


終わらせよう、今夜にでも。






「舞ちゃん」

「なぁに?」

「お父さんとお母さんを、ここに呼んで来てくれるかな?」

「お母さん達を?」

「うん、お兄ちゃんに会わせてあげたいんだ」

「お兄ちゃんに?!」



僕の言葉に、舞ちゃんの白い頬に嬉々とした色が乗る。

すぐ呼んで来ると駆け出して行った。




その背を確認し、僕は貴志君と向かい合う。




まだ、小学五年生。

この先も変わらないまま。


それは心も同じだ。

たとえ生まれ変わろうとも、魂に刻まれた想いは消える事は無い。



信じよう…。




「今から君の声を両親に伝えるよ。最初で最後になるからね」



いいね?と確認した僕に、貴志君は力強い頷きを返してきた。



「けれど、僕の力は君の姿まで見せる事はできないから、椿の力を借りる様になるからね」




頷きかけた貴志くんの動きが止まった。


それから、不安げに瞳を伏せる。



………迷い?


「どうしたの?」
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