月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
しばらく戸惑っていた二人だが、舞ちゃんに背中を押される形で椿へと歩み寄ってきた。
「これで…何がわかるのですか?」
不安から、幹へと伸びる薫さんの手が震えている。
「僕を信じて下さい。必ず答えが見えます」
「薫、宗久を信じろ。こいつの力は確かだ」
納得しきれない面持ちの薫さんを促し、先輩は幹に手の平を押し付ける。
続いて手をあてた薫さんと共に、二人の表情が驚愕へと変化していく。
「………宗久」
「はい」
「これは何だ…なぜ幹がこんなに濡れているんだ」
「ここ数日、雨も降っていないのよ…?」
「お兄ちゃんだよ!」
気味が悪いと手を離す薫さんに、舞ちゃんが叫んだ。
「お兄ちゃんが死んじゃってから、ずっと椿は濡れてたんだよ!」
「…舞」
「なのにお母さん達、気付かなかったじゃない!それなのに気味悪いとか言わないで!」
叫びながら泣き出す舞ちゃん。
椿の変化。
それに気付いていたのは、舞ちゃんだけだったのだ。
悔しいのだろう。
「宗久…どういう事だ?貴志が死んでから椿は濡れていたのか?」
「…そうです」
椿は、濡れていた。
「これで…何がわかるのですか?」
不安から、幹へと伸びる薫さんの手が震えている。
「僕を信じて下さい。必ず答えが見えます」
「薫、宗久を信じろ。こいつの力は確かだ」
納得しきれない面持ちの薫さんを促し、先輩は幹に手の平を押し付ける。
続いて手をあてた薫さんと共に、二人の表情が驚愕へと変化していく。
「………宗久」
「はい」
「これは何だ…なぜ幹がこんなに濡れているんだ」
「ここ数日、雨も降っていないのよ…?」
「お兄ちゃんだよ!」
気味が悪いと手を離す薫さんに、舞ちゃんが叫んだ。
「お兄ちゃんが死んじゃってから、ずっと椿は濡れてたんだよ!」
「…舞」
「なのにお母さん達、気付かなかったじゃない!それなのに気味悪いとか言わないで!」
叫びながら泣き出す舞ちゃん。
椿の変化。
それに気付いていたのは、舞ちゃんだけだったのだ。
悔しいのだろう。
「宗久…どういう事だ?貴志が死んでから椿は濡れていたのか?」
「…そうです」
椿は、濡れていた。