月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
どれ程に辛く、苦しかった事だろう。


これからは舞ちゃんの明るさが、両親や家族を救うだろう。




そう、期待したい。






そして、両親も誇って欲しい。


こんなにも優しい子供達に出会えた事を。

親と呼んでもらえる事を。




そうしていつか、笑って貴志君の思い出を語って欲しい。


幸せだったと、楽しかったと。



ずっと愛していると。






それだけでいい。

貴志君は、それを望んでいる。


家族の幸せ…それだけを。





貴志君自身も、辛かったのだから。


両親の涙は自分のせいだと、その為に悲しみに捕われ、それを背負う結果になってしまったのだ。





だからもう悲しまずに、前を向いて。

太陽を仰ぎ、眩しさに瞳を細める感覚を思い出して。



そこには必ず、あなた方の望む形がある。


貴志君の笑顔があるから。





泣く事だけが偲ぶ事では無い。


語る事も偲ぶ事。




それが貴志君や家族の笑顔と共に在る事が出来たなら、必ず貴志君との幸せな思い出へと繋がっていくのだから。




思い出も、未来へ繋がっていくのだから…。
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