月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
舞ちゃんは元気良く頷き、笑顔を表情に広げた。
白くて丸い頬が、嬉しさから微かに朱色を帯びる。
良かった。
心から、そう思う。
「そういや、宗久の所の息子はいくつだったかな」
「五歳です」
「じゃあ、舞が一年お姉ちゃんね」
「一つ上の女房は金のわらじ履いてでも捜せと言うなぁ。舞、宗久の息子の金のわらじになったらどうだ?」
そう言い先輩は、あははと豪快に笑う。
僕も笑っていいのだろうか…。
「いや……うちは独特な家なので。舞ちゃんが苦労してしまいますよ」
「苦労?」
「はい……」
多分、義母に………。
夫の僕でさえ、彼女には毎日叱られていますから。
来た時と同様、先輩が駅まで車で送ってくれる事になり、手を振る皆と別れ、僕は帰路に着く。
心地良く揺れる車内、小さくなっていく赤島の屋敷をサイドミラー越しに見つめていると、自然と笑みが漏れた。
役目が果たせたのだな。
安堵の溜息と共に、自分の中にある余韻を体外に吐き出した。
もう、心配はいらない。
この家族は大丈夫。
.
白くて丸い頬が、嬉しさから微かに朱色を帯びる。
良かった。
心から、そう思う。
「そういや、宗久の所の息子はいくつだったかな」
「五歳です」
「じゃあ、舞が一年お姉ちゃんね」
「一つ上の女房は金のわらじ履いてでも捜せと言うなぁ。舞、宗久の息子の金のわらじになったらどうだ?」
そう言い先輩は、あははと豪快に笑う。
僕も笑っていいのだろうか…。
「いや……うちは独特な家なので。舞ちゃんが苦労してしまいますよ」
「苦労?」
「はい……」
多分、義母に………。
夫の僕でさえ、彼女には毎日叱られていますから。
来た時と同様、先輩が駅まで車で送ってくれる事になり、手を振る皆と別れ、僕は帰路に着く。
心地良く揺れる車内、小さくなっていく赤島の屋敷をサイドミラー越しに見つめていると、自然と笑みが漏れた。
役目が果たせたのだな。
安堵の溜息と共に、自分の中にある余韻を体外に吐き出した。
もう、心配はいらない。
この家族は大丈夫。
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