月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
「あなた」
笑顔で年賀状を差し出す妻。
それを受け取り、視線を這わせる。
途端、僕の頬も緩む。
差出人は、赤島先輩だった。
家族三人が笑顔で写っている年賀状。
正月の挨拶が印字された下には、先輩特有の右上がりの手書きメッセージ。
“家族全員、無事に笑顔で年を越せる事、宗久に感謝を伝えても伝えきれない。これからは前を向いて歩いて行こうと思う。貴志の為にも”
笑う、家族。
これこそが貴志君の望んでいた姿。
良かった。
本当に良かった。
「赤島さん、お元気になられたのね」
僕の隣、年賀状を覗き込みながら、妻が安心した様に胸を撫で下ろす。
「ええ、元気になれた様ですね」
先輩達は、きちんと貴志君の意思を理解してくれている。
それだけで報われた感じだ。
ただ、幸せであって欲しい。
日常を、時間を、慈しんで過ごしてくれたなら。
「あら…赤島さん、下のお子さんは女の子でしたのね?」
「見ますか?」
僕の手から年賀状を受け取り、妻はじっと見つめている。
いや、睨んでいる?
笑顔で年賀状を差し出す妻。
それを受け取り、視線を這わせる。
途端、僕の頬も緩む。
差出人は、赤島先輩だった。
家族三人が笑顔で写っている年賀状。
正月の挨拶が印字された下には、先輩特有の右上がりの手書きメッセージ。
“家族全員、無事に笑顔で年を越せる事、宗久に感謝を伝えても伝えきれない。これからは前を向いて歩いて行こうと思う。貴志の為にも”
笑う、家族。
これこそが貴志君の望んでいた姿。
良かった。
本当に良かった。
「赤島さん、お元気になられたのね」
僕の隣、年賀状を覗き込みながら、妻が安心した様に胸を撫で下ろす。
「ええ、元気になれた様ですね」
先輩達は、きちんと貴志君の意思を理解してくれている。
それだけで報われた感じだ。
ただ、幸せであって欲しい。
日常を、時間を、慈しんで過ごしてくれたなら。
「あら…赤島さん、下のお子さんは女の子でしたのね?」
「見ますか?」
僕の手から年賀状を受け取り、妻はじっと見つめている。
いや、睨んでいる?