月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
どうしました?
何かおかしいですか?
一分程、年賀状の写真を凝視していた妻は、静かに吐息を吐き出した。
「女の子も、可愛いですわねぇ…」
………え?
「男の子には無い柔らかさがありますわよね」
………ええっ?
「瑞江さんもそう思いますか?」
「え?」
「女の子、かわいいですよね?」
「ええ…そう思いますけれど。何ですの?いきなり詰め寄って…」
「…………いえ、別に」
僕の願いは遠いかも…。
まぁ、それも良いか。
幸せなら。
皆が、今年も幸せであればいい。
来年も次も、こうして過ごせるならいい。
それだけで、僕も笑っていられるのだ。
その為の努力ならば、僕はいくらでもするだろう。
ずっと、この先も。
帰る場所、迎えてくれる場所を守る為ならば。
僕は祈り続ける。
きっと、貴志君も祈り続けているに違いない。
家族と同じ、穏やかな笑顔で。
今年、椿の花が再び芽吹く。
きっと、その冬の景色の下に、新しい光を得た家族の笑顔が集うだろう。
月花の祈り 終
何かおかしいですか?
一分程、年賀状の写真を凝視していた妻は、静かに吐息を吐き出した。
「女の子も、可愛いですわねぇ…」
………え?
「男の子には無い柔らかさがありますわよね」
………ええっ?
「瑞江さんもそう思いますか?」
「え?」
「女の子、かわいいですよね?」
「ええ…そう思いますけれど。何ですの?いきなり詰め寄って…」
「…………いえ、別に」
僕の願いは遠いかも…。
まぁ、それも良いか。
幸せなら。
皆が、今年も幸せであればいい。
来年も次も、こうして過ごせるならいい。
それだけで、僕も笑っていられるのだ。
その為の努力ならば、僕はいくらでもするだろう。
ずっと、この先も。
帰る場所、迎えてくれる場所を守る為ならば。
僕は祈り続ける。
きっと、貴志君も祈り続けているに違いない。
家族と同じ、穏やかな笑顔で。
今年、椿の花が再び芽吹く。
きっと、その冬の景色の下に、新しい光を得た家族の笑顔が集うだろう。
月花の祈り 終