月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
「いかがでした、あなた。赤島さんは、お元気になられましたか?」
手紙を読む僕の顔を覗き込んでくる妻。
生返事を返しながら、右手で夕飯のおかずである大根の漬物をつまんで口に運ぶ。
行儀の悪い、と僕の右手の甲を軽く叩く妻を見つめた。
「瑞江さん」
「何ですか?」
「先輩に会いに行ってもいいでしょうか?」
首を傾げる妻に、先輩からの手紙を差し出した。
それを受け取り読み上げた妻は、小さく笑う。
「わたくしに許しを得る前に、あなたは決めていらっしゃるのでしょう?」
「はい」
「あなたにしか出来ない事なのですね」
「おそらく」
「無理はしないと、お約束して下さる?」
「勿論ですよ」
笑い頷いた僕につられたのか、妻もまた、やんわりと美貌に笑みを乗せた。
「なら、行って差し上げて下さいな」
その代わり、クリスマスイブが過ぎてから、年末までには戻って下さいね?と言われたが。
仏教徒なのに…。
しかし、息子も楽しみにしているのだから仕方が無い。
学校が冬休みに入ってから、尚且つクリスマス以降年末前までと言う期間を条件に、僕は先輩に会いに行く事となった。
手紙を読む僕の顔を覗き込んでくる妻。
生返事を返しながら、右手で夕飯のおかずである大根の漬物をつまんで口に運ぶ。
行儀の悪い、と僕の右手の甲を軽く叩く妻を見つめた。
「瑞江さん」
「何ですか?」
「先輩に会いに行ってもいいでしょうか?」
首を傾げる妻に、先輩からの手紙を差し出した。
それを受け取り読み上げた妻は、小さく笑う。
「わたくしに許しを得る前に、あなたは決めていらっしゃるのでしょう?」
「はい」
「あなたにしか出来ない事なのですね」
「おそらく」
「無理はしないと、お約束して下さる?」
「勿論ですよ」
笑い頷いた僕につられたのか、妻もまた、やんわりと美貌に笑みを乗せた。
「なら、行って差し上げて下さいな」
その代わり、クリスマスイブが過ぎてから、年末までには戻って下さいね?と言われたが。
仏教徒なのに…。
しかし、息子も楽しみにしているのだから仕方が無い。
学校が冬休みに入ってから、尚且つクリスマス以降年末前までと言う期間を条件に、僕は先輩に会いに行く事となった。