月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
目の前に並ぶ古い商店街も、遠くに重なる山の緑も。
ここは何となく、僕の住む土地に似ている。
だからなのだろう、他所に来た感じがしない。
まぁ、その方が僕にも好都合なのだが。
「宗久!」
呼ばれ、声のする方へ視線を向けた。
駅前の小さな駐車場。
その中、手を振り歩み寄って来る人物。
赤島先輩だ。
大学ラグビーをしていた先輩は、僕の記憶では身体が大きく、たくましい印象だ。
ボールを抱え、敵を振り切り猛進する姿が記憶に焼き付いている。
だが、どういう事だろう。
先輩は、一年前とは変わっていた。
身体が一回り小さくなってしまった感じだ。
痩せてしまったのだろう。
その為か、35歳という年齢より老けて見えた。
骨が目立つ頬も、短髪に混じる白髪も。
力強い呼び声と反し、見かけはまるで、病気ではないかと思える程に……。
「宗久、来てくれてありがとう!待っていたよ」
「お久しぶりです、先輩。もっと早くお伺い出来れば良かったんですが…」
不安を心中に押し込み、笑って見せた。
僕の返答に、そんな事は無いと先輩は首を振る。
ここは何となく、僕の住む土地に似ている。
だからなのだろう、他所に来た感じがしない。
まぁ、その方が僕にも好都合なのだが。
「宗久!」
呼ばれ、声のする方へ視線を向けた。
駅前の小さな駐車場。
その中、手を振り歩み寄って来る人物。
赤島先輩だ。
大学ラグビーをしていた先輩は、僕の記憶では身体が大きく、たくましい印象だ。
ボールを抱え、敵を振り切り猛進する姿が記憶に焼き付いている。
だが、どういう事だろう。
先輩は、一年前とは変わっていた。
身体が一回り小さくなってしまった感じだ。
痩せてしまったのだろう。
その為か、35歳という年齢より老けて見えた。
骨が目立つ頬も、短髪に混じる白髪も。
力強い呼び声と反し、見かけはまるで、病気ではないかと思える程に……。
「宗久、来てくれてありがとう!待っていたよ」
「お久しぶりです、先輩。もっと早くお伺い出来れば良かったんですが…」
不安を心中に押し込み、笑って見せた。
僕の返答に、そんな事は無いと先輩は首を振る。