恋に落ちた、この瞬間。
優しい、か。
そんな言葉、まおからしか言われた事ないかも。


普段、仲のいいヤツとしか絡まない俺としたら“優しい”なんて言葉。

聞く機会の方が少ない。



「もう寝るか? 眠いだろ?」


「うん、寝る」


途中で起きたんだ。 まだ寝ることだって出来るな。

ベットに乗り上げている俺はのその場所から降りた。


「ほら、布団掛けてやるから寝ろ」


まおが丸めたせいで布団がぐちゃぐちゃ。

きれいにして、まおの上に優しく乗せる。


「――― っっ」


まおの首辺りまで掛けてやり、手を退かそうとしたらこの有り様。


「何してんの? 手、離さないの」


「あのっ、えーっと……」


俺の手を掴んで何か言いたそうな事は察する事は出来るけど。

コイツは何を言いたい?


「まお?」


「……… 一緒に、寝よ?」


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