恋に落ちた、この瞬間。
「まおちゃーん」


「はーい!」


キッチンから母さんがテレビの前に座るまおに声を掛けた。


「まおちゃん、樹と“二人っきり”でもいい?」


おい、ちょっと待て!
その許可って今取るのか?
普通は事前に確認するものだろ。


「いっくんと…… 二人?」


おいおい、まお……。

チラッと俺に視線を移して、そんな不安そうな顔をするな。
俺はお前に手を出す気なんて無いんだからな。


逆に、傷つくわ……。


「色々な事は樹がやるから大丈夫よ。 ご飯は温めるだけだし…… 寝る場所は樹のベットを使っていいから」


「……… はい、わかりました」



今夜は俺とまおの二人だな。

母さんはこれから出勤だろうし、朝から普通に父さんは仕事に行ったな。


最近は二人とも忙しいみたいで、日付が変わってからの帰宅。

どうせ今夜も日付が変わってからの帰宅になるだろう。






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