-短編集-『泡雪』
3
−−あれから。
彼との生活も、恋愛関係も終わってしまったけど、
彼がメールのアドレスを変えるたび、私のケイタイには彼の新しいアドレスが届いた。
それはまるで、私がまだ同じアドレスを使っているのか、試送信するかのように、半年に一度。
彼を忘れようと、新しい知り合いのアドレスでケイタイのメモリを埋めようと努力しているのに……。
そこへまた、さっとメールの受信履歴に彼が滑りこんでくる。