-短編集-『泡雪』
6
――私は、集める。
他のワタシがそうしているように、周りをみながら、まねをして。
どうやら、一度とり逃してもまた同じパーツがまわってくることもあるようだ。
さっき見過ごしてしまった腕が、またきた。
どうやら右手。
マネキンのように特徴もなくて、切断面も特に血だらけということもなく、
はじめだけキャーキャー言ったが、隣のワタシが3本目の煙草に火をつけるころには、次第に慣れ始めていた。
それよりも。
「集めないと、帰れない」
その、言葉の意味のほうが気になるし、集めきったとき、大切な人のカラダだというのがもっと気になった。