-短編集-『泡雪』
「できたー!」

どこからか、ワタシの声が上がった。

私を含め、みなそちらのほうをぱっと振り返った。

集めたパーツがくっつき、ひとつになり、ワタシは作ったようだ。



出来上がったのは、



また、「ワタシ」だった・・・



みんな、なーんだという感じで、またそれぞれ自分の作業に集中した。

「もう1体のワタシ」を完成したワタシは、列車が止まったわけでもないのに、荷物をまとめて降りる支度をしている。

そして、立ち上がり私の横を通りすぎるとき

「がんばってね」

涙目でそう言ったら、うつむいて扉の向こうに消えた。





先ほど完成した「ワタシ」が、またワタシ達にまぎれて、もうどこにいるかわからなかった。





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