-短編集-『泡雪』
私は、ようやくすべてを悟った。

そうか、完成したときに自分の大切な人。

それが、また「ワタシ」になってしまったとき。
私はこの列車を降りる。

作り上げたワタシと、交換になる。


そして、たぶん・・・



バラバラになり、みんなが集めている「パーツ」になるんだろう。
それは怖くて、聞けなかったけど。


それまで、適当に集めていたパーツに大切な人を重ねて、心をこめた。


「ごめんなさい」

「ありがとう」

「会いたい」

「元気?」

ひとつ、集めるごとに、声をかけて。




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