-短編集-『泡雪』
大切なひと・・・


そう、私がいまこの列車に乗るきっかけになったのは、彼へのやきもちと被害妄想。
そして、いつも気分でケンカを吹っかけては、謝れないでいた自分。

かくれんぼの鬼に、なりたくない。

私から、探したくない。
探されたい。

追われたい。


私を、探さないでというわがままを、言いたい「だけ」

それが、どのくらい貴方を振り回してきたのかしら・・・

いいえ、貴方のみならず、親、兄弟、友人・・・


そう思ったら、涙が出てきた。
悔し涙だったかもしれない。

そうと気づかず、「ワタシ」を作り続けた私の分身たちに。

今、手にとっている「パーツ」に戻された、「ワタシ」に。



もっと、早く気づけばよかった。









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