-短編集-『泡雪』
ロードヒーティングが入っているのか、地面から僅かに湯気のような白い靄が立ち上る。

彼は、もうすぐ。

この道を歩いて私に会いに……


襟を立て、足早に行き交う人達は皆俯いているのに、ぶつかることなくすれ違っていく。

その中に、彼を自然と探してしまう。


……いかにも待ってるっていうのも、恥ずかしいかな。


また私は素直になれず、くるりと正面に向き直し、かっこつけて静かに自分の足元を見た。


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