-短編集-『泡雪』
文字の下の空白に、ふわりと雪が落ちて、すぐに水滴に変わった。

また。

また、ふわり。



そして、画面の上で溶けていく。


−−彼の姿は、もう探さなかった。

私は、自分の傲慢さ、身勝手さをこの雪で清めたいと、切に願い……

そして粉雪は、その願いを聞き届けるかのように、私の頬に、髪に、

舞い落ちては音もなく、雫に変わる。







   −fin−
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