-短編集-『泡雪』
『もしもし、ルリ?あー、えーとその…もし、今日空いてるなら……』

『会えるよ、会いたい』


今まで、何度電話してもメールしても、幸人には私から『会いたい』と、はっきり口にしたことは、なかった。

だから、彼の言葉を遮るようにして私の唇からこぼれた『会いたい』という気持ちを、


彼は、長く待ち望み、初めてクリスマスに叶ったことを、静かに喜んだ。




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