-短編集-『泡雪』
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幸人の車の助手席に乗り、私は先ほどから降り始めた雪の話題を彼にふった。
どうでも、よかった。
だけど、無言になれば泣いてしまいそうだし、
かといって彼がしてくれる話に、笑えそうもなかった。
『積もるかもなー、うーん、気温も低いし…明け方ツルツルになると車がさー……』
私は、まっすぐ正面を見たまま、フロントガラスに飛び込むようにしてぶつかる雪を見ていた。
真っ暗な闇をかきわけて、
ライトで照らされる白い道。
次々と、目の前で溶けては流れ落ちる雪のしずく。
−−宇宙旅行、みたい。