-短編集-『泡雪』
『ごめん、間違った』
そう、照れたようにごまかしたけど、間違うわけないのは彼も知ってる。
もう何度も乗っている車なんだから。
窓を閉めたあとも、少しの間だけ、息は白くなった。
『気持ちいい、寒いの、好き』
幸人は、何も言わなかった。
そう、照れたようにごまかしたけど、間違うわけないのは彼も知ってる。
もう何度も乗っている車なんだから。
窓を閉めたあとも、少しの間だけ、息は白くなった。
『気持ちいい、寒いの、好き』
幸人は、何も言わなかった。