-短編集-『泡雪』
ホールは吹き抜けになっていて、二階の目の高さに窓があり、そこからは薄曇りの空から
冬の午後らしい柔らかい光が降り注いでいた。
窓枠には、びっしりと雪がはりつき、表では穏やかに小雪がちらついている。
彼は今頃、地下鉄を降りて白い息を吐きながら、この店までの裏道を歩いているだろう。
久しぶりの雪に足をとられながら、
私に会うために……
私に、言葉を用意して……
それは、別れかもしれない。
なんだっていい。
とにかく、会いたい……
早く、来て……
そう願いながら、コーヒーカップを両手で包むと、冷えた掌が熱で痺れた。
冬の午後らしい柔らかい光が降り注いでいた。
窓枠には、びっしりと雪がはりつき、表では穏やかに小雪がちらついている。
彼は今頃、地下鉄を降りて白い息を吐きながら、この店までの裏道を歩いているだろう。
久しぶりの雪に足をとられながら、
私に会うために……
私に、言葉を用意して……
それは、別れかもしれない。
なんだっていい。
とにかく、会いたい……
早く、来て……
そう願いながら、コーヒーカップを両手で包むと、冷えた掌が熱で痺れた。