-短編集-『泡雪』
入口のドアについている、小さな鐘がカラコロと音をたてて、誰かが入ってきた気配がする。
まっすぐ、階段を昇る足音。
間違いない、哲哉だ…!
私は、階段の方を見つめた。
すこしの雪を頭に載せたまま、見えてくる、懐かしい顔。
ちょっと痩せたかな、でも前よりずっとまた、二重がはっきりして、
目が会うと、彼の瞳に吸い込まれるように目をそらせなくなった。
まっすぐ、階段を昇る足音。
間違いない、哲哉だ…!
私は、階段の方を見つめた。
すこしの雪を頭に載せたまま、見えてくる、懐かしい顔。
ちょっと痩せたかな、でも前よりずっとまた、二重がはっきりして、
目が会うと、彼の瞳に吸い込まれるように目をそらせなくなった。