-短編集-『泡雪』
『あ…はは、久しぶり。待った?』
優しい笑顔に変わり、私はそれをみて、すぐに泣きたくなった。
『待ってた……私。てつ…』
言葉が、続けられない。
心臓が、ぎゅんと捻られるように痛み、勝手に涙が頬を伝う。
私の正面に座った哲哉が、まるで夢をみているみたいで、
私は、どこでもいいから彼に触れたくて、手を伸ばした。
『手、冷たい。つめた…ね…』
彼の、節ばった指に私の指先が触れると、
私はその指が今は他の女のものになってしまったのではないかと、また切なくなった。
優しい笑顔に変わり、私はそれをみて、すぐに泣きたくなった。
『待ってた……私。てつ…』
言葉が、続けられない。
心臓が、ぎゅんと捻られるように痛み、勝手に涙が頬を伝う。
私の正面に座った哲哉が、まるで夢をみているみたいで、
私は、どこでもいいから彼に触れたくて、手を伸ばした。
『手、冷たい。つめた…ね…』
彼の、節ばった指に私の指先が触れると、
私はその指が今は他の女のものになってしまったのではないかと、また切なくなった。