-短編集-『泡雪』
真夜中。
雪はますます降り積もり、ストーブを消した後の部屋の中はあっという間に冷え、私はいつまで経っても爪先がジンジンと寒さで凍え、寝られなかった。
だけど、
隣に潜り込むことも、
彼を引き寄せることも、
許されない、冷たい氷の壁が二人の間にあるように、
時計の秒針の進む音だけが、私の呼吸のリズムを作る支えだった。
カチ…吸って…
カチ…吐いて…
このまま、明日の朝には、きちんと話さなくちゃ…
カチ…吸って…
カチ…吐いて…
私はどちらにも、嘘をついた。