-短編集-『泡雪』
小さな私の足跡は、靴裏の形をすぐに溶かして平らにした。
じわりと冷たさを感じるけど、それはすぐに痛みに変わる。
感覚はなくなり、膝まで痺れていく。
真っ白な道にのびる足跡は、降り止まない雪で次々と消されていく。
追い掛けても、どちらも見えなくて、
私の足も、もう動かないくらい雪に埋もれて、
二人の足跡があったであろう場所に倒れこむと、そこが一番温かくて、
人肌より
言葉より
優しさより
自分の涙が
一番冷たくて、
私はどちらも愛していなかった。
『あなたじゃなくちゃダメ』なんて、結局誰にも言えなかった。
ただ、
宇宙旅行が好きなだけだったんだ、と、
私に降る冷たい星屑に身体を預けたら、最近で一番よく眠れる夜を迎えて
安心して、目を閉じた。
瞼を開いても、閉じても、真っ白だった。
−fin−
じわりと冷たさを感じるけど、それはすぐに痛みに変わる。
感覚はなくなり、膝まで痺れていく。
真っ白な道にのびる足跡は、降り止まない雪で次々と消されていく。
追い掛けても、どちらも見えなくて、
私の足も、もう動かないくらい雪に埋もれて、
二人の足跡があったであろう場所に倒れこむと、そこが一番温かくて、
人肌より
言葉より
優しさより
自分の涙が
一番冷たくて、
私はどちらも愛していなかった。
『あなたじゃなくちゃダメ』なんて、結局誰にも言えなかった。
ただ、
宇宙旅行が好きなだけだったんだ、と、
私に降る冷たい星屑に身体を預けたら、最近で一番よく眠れる夜を迎えて
安心して、目を閉じた。
瞼を開いても、閉じても、真っ白だった。
−fin−