-短編集-『泡雪』
積もる雪の表面を風が削りとり、僕達は遠くに見える町の薄明かりで反射する、ダイヤモンドダストをみた。
いや、彼女はもう、見えていなかった。
もしくは、雪の中でもっと美しいものを見ていたはず。
――これが僕らの、夢だったから。
いや、彼女はもう、見えていなかった。
もしくは、雪の中でもっと美しいものを見ていたはず。
――これが僕らの、夢だったから。