-短編集-『泡雪』



『くれてやる、こんな奴。はじめから知ってたのよ』





俺は、どんなに分厚い氷の下からも草木が芽吹き始め、
きちんと春が訪れ、まるで冬などなかったかのように
花が咲くということを、

彼女を見て思い知った。
 



・・・そうか。

待っていたんだ。

彼女は、このときを。



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