-短編集-『泡雪』
そうして、秋のある夜。
彼がいないうちに私は、手に持てるだけのありったけの荷物を抱えて、
二人仲良く暮らした思い出の詰まる部屋を飛び出した。
彼には何も言わず。
向かう先なんて、実家しかない。
実家に帰ってしまえば、もう二度と、
『飛び出したくなるような家に帰るな、そんな男と結婚前から住むな』
と、戻ることを咎められるだろう。
それでも部屋を出たのは、
彼がいないうちに私は、手に持てるだけのありったけの荷物を抱えて、
二人仲良く暮らした思い出の詰まる部屋を飛び出した。
彼には何も言わず。
向かう先なんて、実家しかない。
実家に帰ってしまえば、もう二度と、
『飛び出したくなるような家に帰るな、そんな男と結婚前から住むな』
と、戻ることを咎められるだろう。
それでも部屋を出たのは、