-短編集-『泡雪』
「だから同棲なんて嫌だったんだ!!」
彼は、叫んだ。
頭に、カッと血が上るのがはっきり分かった。
なのに不思議と額からは冷や汗。
・・・部屋の温度も高すぎたんだろう。
私はその日、カリカリしていた。
とてつもなく、カリカリしていた。
彼の一挙一動、見逃すまいと
小学生のときの観察日記レベルに、彼の行動を『監視』
私は、鼻の頭に汗を滲ませながら、つばを飛ばして彼を責めていた途中、
彼がもう疲れたと呟いたのをきっかけに
立場が逆転。
「毎日、毎日一緒にいるのに、何が不満なわけ?俺がどこにもいかなければ、お前は満足なわけ?お前に、友達はいないわけ?」
繰り返される「~わけ?」という彼の口癖に、イライラ。
それなのに、寂しさを閉じ込めたパンドラの箱は
ぶっ壊れた。
ばっかーん!!と、蓋もそこもとんだ。