-短編集-『泡雪』
電車は、ホームで寒い寒い言ってたら、すぐに来た。

「ほら、これだから」

「えーーー、乗りたくないんだけど」

「いいから、乗りな。どうせどこにも行くところないんだから」

そう言われたら、悔しいけどそのとおりだったから、私はやけくそになって乗るしかなかった。


ワタシは私の躊躇う背中をぐっと押し、

「やけくそ、乗っちゃえ!」

と、今思っていたことを口に出して言った。


    

車内は、普通だった。
人もまばらにだが乗っていた。

少しほっとして、適当に席につこうとしたら、

「こっちこっち」

そういわれて車両を渡り連れて行かれた先は、


人で溢れかえる車両だった。

しかも。

・・・・ワタシだらけの。








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