チョコレート・キス
あからさまにため息をついてみれば、自分と同じように繁華街の路地にしゃがみこんで煙草を吸っていた波樹が噛み付いてくる。
まだ少し自分より小さい金色の頭をかき混ぜてやれば、波樹はうざったそうにその手を撥ね退けて、煙を吐き出した。
まだ幼さの残る顔にそれが似合わなくて、小さく笑えば波樹は完璧にむくれたようで、
「……んだよ、今更煙草やめろとか言うんじゃねぇだろうな」
「いわへんよ。せやけど氷沙にばれる様なことしてみ?」
ただじゃすまさへんでとにっこり微笑んでやれば、波樹は引きつった笑みを浮かべて頷いた。
なんだかんだいってまだ素直だからかわいい。