チョコレート・キス
「はぁ? なんだそれ、姉貴が佐倉を探してるって」
「しらねぇよ。俺だって聞かれただけだっつーの。今までずっと俺のこと嫌がってたくせにだぜ? いきなりねぇ佐倉辰馬知らない?
だって、知るかよ。って思ったんだけど、一応お前に教えといてやろうかって思ってわざわざ来てやったのに」
「……お前それで教えたのかよ」
波樹の声は押し切れない苛立ちがにじみ出ていて、しょうがないなと微笑ましくも思いながらその中に割ってはいる。
こんなところで喧嘩されても面倒くさい。
「こら、波樹」
「うるせぇよ! 楓だって知ってんだろ!? あいつの噂……っ」
「このシスコン」