チョコレート・キス
「あれ、楓じゃん! なにやってんのこんなとこで」
「南こそなにやっとんの? バイトかなんかなん?」
「えー、あたし今日は友達と遊ぶからって言ったじゃん! 覚えてないの?」
賑わう大通りをゆっくり歩いて、佐倉の家を目指していたら、前方にクラスメイトの南の華やかな顔が見えた。
南は小走りに駆け寄ってきて、嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「そうだ、昨日はありがとうね楓。買い物付き合ってくれて」
「かめへんよ。暇やったしな」
「何よそれ、楽しかったぐらい言ってくれてもいいのに」
「そらあかんわ。南、うちの氷沙いじめよるからなぁ」