チョコレート・キス
「もー、まなは情緒ないなぁ。きれいじゃない」
「だって寒いもん!これが好きな人とかとだったら、また別だけどさぁ、あぁー彼氏欲しい!」
「でもまなは、チョコあげる相手決めてるんでしょ?宮坂くん競争率高そうだけどねー」
「いいの!がんばるし!それにあたし、宮坂とおんなじ高校受けるし、オッケーもらえたらさ、春からもずっと一緒だもん」
それふられたらかなり悲惨だよね、ときひひと有里が笑う。
うるさいなと頬を膨らませて見せたまなが、イルミネーションのおかげでいつもに増して華やかな大通りに視線をやって、あっと目を輝かせた。
興奮した勢いのまま腕を引っ張られてあたしはずりとこけそうになったんだけれど、抗議する間もなく続いたまなの言葉と、目に入った見覚えのありすぎる姿に、ぽかんと口を開けて、あたしはその人に釘付けになる。