チョコレート・キス
「――氷沙、立って。もう無理だ。止められなくなる……」
「………………利真――」
「あれはその『利真』じゃなくなる、わかってんだろ?」
強く、もう一度身体をゆすられた。
なんで、なんで、どうして。
利真の感情に引きずられるように、あたしの頭の中は疑問でいっぱいになる。
あたしがしたことは、間違いだった?
利真が笑って終えることができたならと、そう思ってたのに。
―――楓、
楓がいれば、楓だったら、利真を助けてくれたはずなのに。
「……なんで、楓はこないなんて言ったの……?」
「氷沙、」
「ねぇ、なんで!? なんで、なっちゃん!」
「―――知るかっ、あいつがいかねぇっつったんだ」