チョコレート・キス
あんなに、堂々と楓の横に立てる自信なんて。
どんなチョコあげようかなだなんて。今年は手作りしてみようかなとか、彼女いるんだったらもう迷惑だよね。なんかむなしい。
ぐるぐると悪循環する思考に入り込んでいたあたしは、自分を呼んでいたまなの声に全く気がついていなくて。
「――――氷沙? 今帰りなん?」
「―――――楓、」
優しい声が聞こえたと思ったときにはもう、目の前に楓と、知らないきれいな女子高生が立っていた。