チョコレート・キス
ぽんっと氷沙の頭を撫でる。
「――ほら、かえるで。もう大丈夫やから」
「………利真は?」
「ありがとうって。氷沙に。ちゃんと昇れたんちゃうかな。可愛い笑ってた」
「――――ごめんね、楓」
「…………何が?」
笑ってやれば、氷沙はおずおずと顔を上げる。
その後で不機嫌顔の波樹もかまってやりたいけれど、今は氷沙を優先させてもらおう。
今日ぐらいは、甘やかしてもいいかなと思う。
この先ずっと一緒に居られるわけじゃない自分が、どこまでこの子に深入りしていいのか思う部分は大きいけれど。
でも、今日は。