チョコレート・キス
「そやね、でも心配やからこれからはちゃんと俺に相談しに来てな。波樹のとこでもええんやし。氷沙のことちゃんと大事やねんよ」
「―――うん」
「な、ちゃんとあいつも生きとるよ。たいしたことないみたいやったし、やさしかったんやね、あの子は」
「………うん」
氷沙の声に涙がまた若干混ざり始めた。
いい子だなと思う。
多少思い込みの激しいところはあるけれど、優しくて可愛い大切な子だ。
でも。
だから、距離を置こうと思ってた。
どうせあと何年かすれば、自分は京都に戻らなければならないのだから、と。
辛い思いをするのは氷沙だから、と。
言い訳なんだろうなと思っていつつも、それを。