チョコレート・キス
「ほら、帰るよ。氷沙。波樹も」
「うっせーよ、いちいち言われなくても帰るって。氷沙」
「―――楓、なっちゃん」
帰るよ、俺たちの家に。
俺たちの関係に、愛だの恋だのそんな言葉は欲しくなかった。
大切だとは思う。妹ではない。じゃあなんなんだろう。
ずっと寄り添える相手ではない。でも大切だ。笑っていて欲しい。幸せで居て欲しい。それは本当で。
「お、波樹の長い反抗期もやっと終るんかー。大変やったなぁ、氷沙」
「ほんとうっせー、調子のんなよな」
「――お前、誰にそんな口きいとんねん」