チョコレート・キス

どうせ楽しみになんてしてなかったんだろうななんて卑屈に凹んだあたしの頭を楓は撫でて、内緒話のように囁いた。


「ええよ、来年楽しみにしとるから。くれるんやろ?」

「――――え」

「なに? ちゃうの?」



――楓が。楓が、来年の約束をした?


信じられなくて嬉しくて、あたしはただこくっと頷くことしかできなかった。
そんなあたしを見て、楓は楽しみにしてるともう1回言って、廊下に出て行った。

それでもあたしのドキドキは治まらなくて。


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