チョコレート・キス
このときのあたしは、当たり前だけど知らない。
この1年後に起こる、あたしの人生を丸々変えてしまう巨大な波を。
それでもあたしはこのとき、確かに幸せだった。
みんな一緒。
そんな未来を夢見ることは当たり前なはずだったのに。
なんでそれは難しいんだろう。
叶わないんだろう。
ねぇ、楓。なっちゃん。
あたしは傍に、いたいだけなのにな。
『ねぇ、難しいけど、やっぱり思いは言葉にして伝えないとね。死んじゃったらもうそれでお終いなんだから』