現実俺様彼氏。
「…」
「…」
沈黙が流れた。
そして、私の唇には何も当たりそうな気配もない。
私は恥ずかしくなって目をパチッと開けた。
すると、勝ち誇ったような東條さんの顔が目の前にあった。
「お前は何を期待してたんだ?」
ニヤニヤしながらそう言って、私の唇を撫でた。
「ただ、ジュースが唇についてただけだ」
「~ッ!!」
私は鞄を取ってオフィスから走り出た。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい!!
なんで目なんかつむったのよ!
キスを待ってたの?!何考えてるの、私!!
東條さんといるとなんだかおかしい。
「…ハァ」
ため息をつきながら着いたエレベーターに乗った。
そして、1のボタンを押して閉ボタンを押した。
ドアが閉まりかけた時、誰かの手が入ってきて閉まるのを阻止された。
怖いっ!!
私は思わず体を縮こませた。