Diary/ダイアリー

実家

英理に実家まで車で送ってもらった。

「結婚式、招待状送るから。ブ−ケキャッチする練習しといてよ!」

「アハハ、わかった。
楽しみにしているね」

手を振りながら英理の車は暗闇に消えていった。


去年のお盆に帰ってからだから久しぶりの実家。

私の実家は道路から門まで壁に挟まれた細い道を10メ−トルくらい歩いてから階段3段上がって門がある。
この壁に挟まれた細い道、幼い頃は一人で歩くのが怖かった事を思い出した。

古くなった門…

鍵をあけて玄関に入ってみと、もう実家は正月の準備がしてあった。

「ただいま…」

少し小さめの声で言ってみた。

しばらくすると、階段に明かりがつき、パジャマ姿の母がおりてきた。

「おかえり〜夕飯食べたの?待ちきれなくて食べちゃったわよ」

「あ〜ごめん。英理と食べてきた。お兄ちゃんは?」

「彼女とデ−トじゃない?まったく、ほとんど家にいないのよ。お母さんはいつも一人ぼっちよ!」

なんて愚痴をいいながらも私にお茶を入れてくれて、うれしそうな母。

中3の時に父を交通事故で亡くしてから私と3つ上の兄を母一人で育ててくれた。

私も兄も大学に通わせるの、大変だったろうに…。

母の入れてくれたお茶を飲みながら、仕事のこと、一人暮らしのこと、英理の結婚のこと…
いろいろ母と話した。

気付くと日付が変わっていて、私は久しぶりの自分の部屋でもう寝る事にした。

なんだか寝付けなかった。
そう、夢なのか、現実なのかわからないような体験をした…
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