双子悪魔のホームステイ
「ク、クレイ君!どうしたんですか!?」
「クレイ!しっかりしろって!」
クレイは数秒間、自分の名を呼ぶ二人を虚ろな目で見上げていたが、言葉を発することなくドッと横向きに地面に倒れた。
「クレイ!クレイー!!」
「クレイ君ー!!」
満月の下、ディザスと結祢の叫び声がこだましていた……。
「……。」
天界、閻魔の居城。
ロールは下界の様子を映す水晶で、全ての状況を把握していた。
今現在、水晶には固く目を閉じて旅館の布団に横たわるクレイの姿と、付きっきりで看病する結祢とディザスが映し出されている。
(わたくしの危惧した通りですわね。このままでは、クレイは……)
「ただいま……帰りました、ロール様……。」
ロールの思考を遮るように、弱々しい声がして扉が開く。
「お帰りなさい、ティディ。」
ロールは振り返らずに冷めた口調で労った。
その態度にティディの背筋がゾクッと寒くなる。