双子悪魔のホームステイ
雨天の決闘!!ディザス対セク











「……終わりだ。」


黒髪の青年は低く呟くと、銃の引き金にかけられた右手人差し指にグッと力を込めた。



「ダ、ダメです、星駆君!!」


茶色い三つ編み髪を持つ少女の叫び声とほぼ同時に、ターンッと銃声が響き渡る。



「うっ……っ……。」


撃たれた金髪の青年は、苦しそうに顔を歪めて左胸を押さえると、そのまま地面にドッとうつ伏せに倒れる。

銃で撃たれたはずであるのに、左胸を貫通していたのは銃弾ではなく鋭利な鏃が付いた矢だった。


そこから生暖かい液体がじわじわ滲み出し、灰色の地面を円上に赤く染めていく。



「ディザス君!しっかりして下さい、ディザス君!!」


三つ編み髪の少女は、金髪青年に駆け寄り上半身を抱いて揺さぶる。


青年といっても彼は人間ではなく、尖った二本の角とコウモリのような小さな翼、それから臀部には先が三角になった尻尾を持つ“悪魔”だった。

金髪の青年悪魔は、赤い瞳をうっすらと開けて三つ編みの少女を見上げる。
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