双子悪魔のホームステイ










「……ちゃん!結祢ちゃんってば!!」


「ディザス……君?」


自分を呼ぶ声と体が揺さぶられる感触で、棉葉 結祢は目を覚ました。


普段は三つ編みで一つにまとめる茶色い髪は、束ねられずにうねうねと腰の長さまでくねっている。

黒い瞳は微かに潤み、自分を呼んだ者を見上げていた。



「大丈夫?なんかうなされてたみたいだけど……。」


ディザスと呼ばれた青年は、結祢から見て右側の位置から彼女を見下ろしていた。


整った金色の髪に真紅の瞳、丸っこい顔を持つ彼は、青年といっても“人間”ではない。

鹿のように鋭く尖った二本の角と上下合わせて四本ある牙、コウモリのような黒く小さな翼に、臀部からは先が三角形になった尻尾。

その姿は、人間がイメージする“悪魔”そのものだった。

腕には、ドクロをモチーフにした銀色の腕輪が嵌められている。
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