双子悪魔のホームステイ
忍び寄る魔の影と美麗死神の涙
双子悪魔とティディの決闘の前々日。
軒並高校、一年六組の教室で、棉葉 結祢はその日何度目か知れないため息をついていた。
気持ちが重たいせいか、茶色い三つ編み髪が風に揺れることはなく、黒い瞳も伏し目がちである。
左手に常に付けてあるミサンガは、緑と黄色の混合から藍色と水色の混合に新調されていた。
「結祢ちゃん……最近、ため息ばかりついてる。何かあった?」
隣の席に座る空浪 星駆が微かに眉をしかめて尋ねる。
栗色の瞳はじっと結祢を見据え、黒い髪と前髪に付けたターコイズの紐アクセがゆらりと揺れた。
「い、いえ、何でも無いんです……はあ。」
「ほら、また。」
「うっ……す、すみません。実は……」
打ち明けようとして、結祢はハッとしたように口を噤む。
彼女の前の席に座る青年悪魔……クレイが、余計なことは言うなとばかりに睨みつけてきていたからだ。
彼の左隣に座るディザスは、机に肩肘を付いてぼうっと黒板を見つめている。